2019年に横浜流星×飯島まりえで実写化もされている『いなくなれ、群青』読みました。
この作品はその後に続く「階段島」シリーズの第1作目で、階段島という捨てられた人々が住む島を舞台に、そこに住む主人公の男子高校生・七草と幼馴染の真辺由宇との有り得ない再会を契機に繰り広げられる物語という、「青春」と「奇抜な設定」大好きマンの僕としては中々に美味しい作品なんですが、そんな真っすぐすぎるからこそ歪で美しい青春と「階段島」の謎を描く物語をネタバレ含んで感想書いていきます。
あらすじ
11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎…。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。
感想 この「モヤモヤ」に耐えれる人と、耐えれず投げ出しちゃう人
よく何かに対しての好意的表現で、
「いい意味で○○だよね」
って「○○」にあまりいいイメージのない表現をあえて使って例えることあると思うんですが、個人的に小説とかに「モヤモヤ」という言葉を使って「いい意味でモヤモヤする」って、思うことが多いんですよね。例えばミステリ小説で犯人が分かりそうで分からないっていう、あの感じを「いい意味でモヤモヤする」って表現したりするんですが…
ということで、この小説に関しても読んでて「モヤモヤ」ってして、ただ「いい意味でのモヤモヤ」だけでなく、人によっては「普通にモヤモヤする」って思うかもしれん。例えば七草と100万回生きた猫との会話シーンだったり、真辺由宇の性格、そして七草との関係性。え、お前らなんなん?どうゆう関係性なの?という。
そして階段島の真相が明かされるのも最後の方なので、耐えれるかどうか。
ちなみに自分は落書きは誰がしたのか?七草が階段島に来て初めて会話したのが掘でしたが、七草と彼女の関係、あえて手紙でやり取りする意味。
そしてそれぞれの失くしたものって何なんだろう?魔女の正体とは?っていう少しSFチックっぽい要素をあれこれ予想しつつ楽しんで読めました。
そして階段島にいる人たちは「自分自身によって捨てられた人格そのもの」であるという、中々に強烈な真実が明らかになって、これまでのすべての「モヤモヤ」が晴れた瞬間の気持ちよさね。同時に七草がなぜ落書きをしたのか?の行動理由(いわゆるハウダニット)も分かる。すべて理解できるからこそ、ほんとそこまで読み切れるかどうかなんだよなー。
ちなみに現実世界での七草と真辺由宇に何があったのか?については続編で分かるそうなので読んでみる予定。