小説

ホントに「事件解決」まで全て序章『そして誰もいなくなる/今邑彩』感想

今邑彩さんが1993年に発表したミステリー小説「そして誰もいなくなる」読みました。

名門女子校の式典での催しの1つ、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』の舞台中に登場人物の1人が服毒死。その後も劇を演じた演劇部員たちが、筋書きとおりの配役順に死んでいくという内容。

ちなみにこの本を買ったあと「そういえば俺『そして誰もいなくなった』読んだ事ないや」ってふと気づいたんですが全く問題ない。

作中でも解説してくれるし、次のターゲットは〇〇役をやった〇〇という生徒だよね?みたいな会話を登場人物達が丁寧に言ってくれる。そして、その通り死ぬ。なので、次に誰が殺されるのだろう?っていうハラハラ感は皆無だけれど、逆に明確に次の殺人が分かってるのは新鮮で、これはこれで面白い。

そんなアガサ・クリスティの名作を「本歌」とした作品をめちゃくちゃネタバレしつつ感想を書いていくので未読の方はご注意を。

『そして誰もいなくなる/今邑彩』あらすじ

名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。

感想

ミステリーの醍醐味として、予想だにしないトリックやどんでん返しってのがあると思うんですが、本作に関していうと終盤に中位の衝撃のどんでん返しが3つ、4つ立て続けに来る感じ。帯の通り「事件解決」まで全て序章だった。

どれもさりげなく手がかりっぽいのは提示されてるので、真相が分かった時「おっ!」ってなったし、100%予想は的中できずとも、勘の鋭い人ならまあまあ予想つくのでは。ちなみに俺自身はさっぱりでした。そうゆうミステリーとしての面白さはすごいし、楽しめましたね。

(とはいえ、そんな俺でも高城は容疑者からは真っ先に外してた。こいつはあからさまに怪しすぎでしょ、と。)

全て真相を知った後から色々考えてみると、主な語り手が新米英語教師で演劇部顧問の香坂典子だったり、事件を追う刑事、大学助教授の松木だったりと、名門女子校が舞台の1つであれど、ここまで”大人”がメインだったので、まあ大人の事情が絡んでくるとは予想できたはず。さらに言うと表紙が女子高生なので、学園モノ的な側面があるのか?と思いきや、あるにはあるんだけど、それ以上に人間のドス黒い、登場人物ほとんど「悪」っていう爽やかさとは真逆のモノをぶち込まれカオスだった。

細かく振り返ってみて、個人的に特にすごいと思った点としては2点あって、1点目は皆川が娘夕実の枕元に置いた通帳。夕実は結婚を認めてくれた語ってたけど、実際は皆川父の振込んだ500万の根拠だった、という。まあこの通帳の描写の後すぐに真相が明かされるわけなんだが、この件を序盤にあった脅迫電話へ繋げることは流石にできなかったし、病室で明かされた時、すべてが繋がってこうゆう細かい描写の事にも気づいて鳥肌。

2点目は「間」の描き方がすげーなと。めちゃくちゃ騙された。2番目の殺人(自殺)の松木もしかり、4番目の殺人の香阪典子であったり、教え子が次々死んで、そりゃ体調不良で学校のトイレの洗面台で顔青白くするわな。と思ってたのですが、まさかそうゆうことだったとはね。

気になる点としては本作品のテーマの1つでもある「裁かれざる犯罪」について。これは本元『そして誰もいなくなった』でも重要な要素とのことで、それを読んでないせいもあるけど、ふーんって感じで軽く流してしまった。これは本元を読むしかですかね。ということでミステリー作品として驚きの連続で読んでいて面白かったですよと。

 

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