小説

物語としての献身『容疑者Xの献身/東野圭吾』感想

東野圭吾さんのガリレオシリーズ第3弾『容疑者Xの献身』。映画が大ヒットとなった作品ですが、原作も素晴らしい内容になっています。

容疑者xの献身/東野圭吾 あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

容疑者xの献身/東野圭吾 感想

石神の献身、一途な愛情が本作の最も見どころな部分だけど、そこに至るまでの部分が秀逸だからこそ、それが引き立つのかなと思いました。

例えば湯川が石神の家を訪ねた時の、P≠NP問題(だよね?)に関する会話。あれが本作のトリックの伏線になってて、あの会話だけで湯川はもちろん、石神の天才数学者っぷりが際立つ。けれどもそんな天才でさえ、環境次第では才能が発揮できず、人生に絶望して自ら命を経つ一歩手前までいってしまう。そして、偶然にせよ自分を救ってくれた女性に恋をする。そんな彼女の為に罪を被る。

ざっと流れを描いてみたけどしっくりくるし、数学は天才だけど、それ以外はからっきしというか冴えない中年なので、石神はどこかありふれた人物に映るんですよね。(なので映画で石神役を演じた堤真一は、原作のイメージ通りではない。なのにも関わらずハマり役でしっくりきてたのですげぇ)

そんなどこか”天才”だけど”普通”の人、我々が共感しやすい人物としてちゃんと描いたからこそ最後の感動がより大きいものになるのかなと思います。直木賞も取った作品だし、日本ミステリ史に残る名作の1つといってもいいと個人的には思います。

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